初心者向け添削付き動画講座「第17回医療ライターのはじめかた」受講生募集中

「開く」と「閉じる」とは?現役医療ライターが、分かりやすい文章をつくる具体例をご紹介

「開く」と「閉じる」というライティング用語をご存知でしょうか?

「開く」はひらがなで表記すること、「閉じる」は漢字で表記することをいいます。
「なんだ、それだけ?」と思う方もいるかもしれません。または、クライアントから「ここは開いて記載してください」と修正を受けたことがある方もいるのではないでしょうか。

薬剤師ライター

桜井さん

Webライターが「開く」と「閉じる」についての理解を深めることは、読みやすい文章を書けるかどうかに大きく関わります

普段何気なく使用している漢字が、記事を読みづらくする原因になってしまうのは避けたいですよね。

今回は、「開く」と「閉じる」について知っておきたいポイントと具体例をお伝えします。医療ライターならではの注意点とともに確認していきましょう!

「開く」と「閉じる」について

「開く」と「閉じる」とはどういうことなのか、なぜ知っておく必要があるのかについて、解説します。

薬剤師ライター

桜井さん

無料の便利ツールもご紹介しているので、気になる方はぜひご覧ください!

「開く」はひらがなに、「閉じる」は漢字に

ライティング用語で「開く」と「閉じる」は以下の意味で使われます。

・「開く」とは、漢字で表記できる文字をひらがなにすること
・「閉じる」とは、ひらがな表記を漢字にすること

また、これらを総称して「閉じ開き」といいます

クライアントとのやりとりでも使われる用語なので、意味をおさえておきましょう。

「開く」と「閉じる」が大切な理由

Webライターが文章を書くうえで、注意しておきたいのが漢字とひらがなのバランスです。

漢字を使用する割合は、文全体に対して20%〜30%が読みやすいと言われています。

漢字が多い文章は、パッと見ただけで「内容が難しそう」という印象を与えてしまいますよね。たくさんの記事がある中で、読者はわざわざ難しそうな記事から情報を得ようとはしません

逆に、ひらがなが多すぎる文章は幼稚な印象をあたえてしまい、読むに値しないと思われる可能性があります。

薬剤師ライター

桜井さん

記事を最後まで読んでもらうために、漢字とひらがなのバランスを整えておくことは必須といえるでしょう。

あわせて読みたい

漢字とひらがなのバランスについて、こちらの記事で詳しく説明しています!
【初心者向け】医療ライターは専門用語に気をつけよう!分かりやすい文章の書き方

表記ゆれにも気をつけよう

記事内あるいはメディア内で漢字表記する単語が統一されていない「表記ゆれ」が起こっていると、読者にとって負担の多い文章になってしまいます

たとえば、同じ記事内で「」と「くすり」という表記があると、読者は「表記方法を変えているのは何か意図があるのかな?」と考えてしまいますよね。

薬剤師ライター

桜井さん

「開く」と「閉じる」をきちんと使い分けることが、読者にとって親切で読みやすい文章につながることを心得ておきましょう

常用漢字ではない漢字は開く

漢字の「開く」と「閉じる」を決める基準に「常用漢字表に記載されていない漢字は開く」というものがあります。

常用漢字とは、文化庁により以下のように定められた、公的な文章の漢字使用の目安のことです。[1​​]

常用漢字表 前書き

この表は、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものである。

引用:文化庁/常用漢字表 前書き

例外はありますが、漢字の「開く」と「閉じる」を決める目安のひとつとして知っておくとよいでしょう。

また、常用漢字かどうかを簡単に調べられる無料ツールもあります。気になる方は利用してみてくださいね。[2]

常用漢字チェッカー

引用:https://joyokanji.info/

「開く」漢字と「閉じる」漢字の具体例

どの漢字を開けばよいのか、一般的に読みやすくなると言われている基準をご紹介します。

実は「どの漢字を開くか」について、絶対的なルールは存在しません
最終的にはメディアのルールや読者層に合わせる必要がありますが、基本的な目安は必ずおさえておきましょう。

常用漢字の中にも、以下の理由で開くほうがよい単語があります。[3]

  • ひらがなのほうが読みやすい
  • 漢字の本来もつ意味から離れている

種類別に具体例を見ていきましょう。

形式名詞

具体的な意味をもたない名詞を形式名詞といいます。
形式名詞は「〜すること」の「こと」のように、文章を名詞化するときに使われ、ひらがなで表記されるのが一般的です。
ただし、同じ名詞でも単体で意味をもつ場合は、漢字で表記します。

読み方開く例閉じる例
こと本を読むことが好きだ事の重大さを知った
もの食べたいものがない遠くにある物を取る
とき悲しいときもある時と場合によっては
ところちょうど読み終えたところだ新しい所へ行く

形式動詞

本来もつ意味から離れた動詞のことを形式動詞といい、一般的にひらがなで表記されます

たとえば「日本という国」と表現する場合の「いう」は、実際に「言う」という動作が行われているわけではありませんよね。この場合「いう」は形式動詞となります。
形式名詞と同様に、同じ動詞でも本来もつ意味のまま使われる場合は、漢字で表記しましょう。

読み方開く例閉じる例
言ういう日本という国意見を言う
来るくる職場へ行ってくる先生が来る
見るみるピアノを弾いてみる景色を見る
行くいく順に説明していく学校へ行く
頂くいただく許していただくお祝いを頂く
上げるあげる荷物を持ってあげる顔を上げる

接続詞

接続詞は開くのが一般的です。

読み方
或いはあるいは
及びおよび
然もしかも
即ちすなわち
但しただし

形容詞

一般的に、開くほうがよい形容詞をご紹介します。

読み方
有難いありがたい
面白いおもしろい
可笑しいおかしい
無いない
素晴らしいすばらしい
羨ましいうらやましい
嬉しいうれしい

副詞

一般的に、開くほうがよい副詞をご紹介します。

読み方
敢えてあえて
予めあらかじめ
何れいずれ
凡そおよそ
折角せっかく
是非ぜひ
殆どほとんど
僅かわずか

医療ライターが気をつけたいこと

医療資格をもつ医療ライターは、現場で専門用語を使うことに慣れていますよね。
医療従事者にとっては簡単な言葉でも、世間一般では読み方すらわからない人が大半というケースも多いです。

薬剤師ライター

桜井さん

普段から医療現場にいたり、論文を読み慣れていたりする医療ライターこそ「一般の方が理解できる言葉かどうか」を意識しながら執筆する必要があるのではないでしょうか。

医療用語はどう表記する?

医療用語には、常用漢字表に載っていない漢字がよく使われているので、どう表記すればよいか迷いますよね。「常用漢字は開く」の原則に従ってひらがなで表記すると、かえって意味がわかりにくくなってしまうこともあります。

たとえば「躁(そう)うつ病」という言葉。「躁」は常用漢字ではないにもかかわらず「そううつ病」の表記は一般的ではありませんよね。逆に「鬱(うつ)」は常用漢字ですが、その複雑さからひらがなで表記されることが多いです。

躁うつ病(双極性障害):ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態​​を繰り返す病気[4]

ほかには「膵臓(すいぞう)」の「膵」、「肋骨(ろっこつ)」の「肋」なども常用漢字ではありませんが、あえて漢字で表記するケースが見られます。

薬剤師ライター

桜井さん

難しい漢字を使うときは、ふりがなをつけるなど読者に配慮し、最終的にはメディアのルールに合わせましょう

迷ったときは、手書きする場合を考える

「開く」と「閉じる」で迷ったら、「自分が手書きするならどう書くか」を想像してみるという方法もあります。

ライティング作業をパソコンで行うと、開くべき言葉も漢字に変換されてしまいがちですよね。パソコンに変換されるままではなく、読者にとって読みやすい文章になるように「開く」と「閉じる」を意識して執筆しましょう。

薬剤師ライター

桜井さん

よく使用する表現は、自分のパソコンに辞書登録をしておくこともおすすめです!

「開く」と「閉じる」の使い分けを知り、伝わる文章を書こう

単純なようで、文章の読みやすさに大きく関わる「開く」と「閉じる」の使い分け。
この機会にマスターし、より読者に伝わりやすい文章を執筆してくださいね。

薬剤師ライター

桜井さん

メディアによってルールが異なる可能性もあるので、自分でメモをしたり、間違えやすい表現の一覧を作ったりしても良いかもしれません!

「開く」と「閉じる」の使い分けを知り、クライアントにも読者にも喜ばれる文章作成をしていきましょう!

この記事の執筆者
薬剤師ライター:桜井さん

薬剤師ライター:桜井 朋子さん

京都薬科大学卒。総合病院での勤務を経て、調剤薬局に転職。現在は幼い娘2人の育児に奮闘中。ママ薬剤師の新しい働き方を開拓すべく、育休中より執筆活動を開始。「正しい知識で、ココロもカラダも心地よく」をモットーに、読者の悩みに寄り添った記事作成を行う。家事効率化が好き。

桜井さんも受講した、Medi+の「医療ライターのはじめかた」講座とは?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。