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薬機法、景品表示法とは?現役薬機法ライターによる、Webライターが気をつけるべきポイントまとめ

「コスメを紹介する記事は薬機法を守らなきゃダメ?」
「景品表示法って言葉をニュースで見かけるようになったけど、自分にも関係ある?」

ここ数年、薬機法・景品表示法の取り締まりが厳しくなり、美容・健康系ライターも無関係ではなくなりました。状況によっては、クライアントからの責任問題に発展することも……。損害賠償なんてことになれば、フリーランスのWebライターにとっては一大事ですよね。

薬機法ライター

テラさん

今回は、自分の身を守るためにも、Webライターが知っておくべき薬機法・景品表示法のポイントについて、薬機法ライターとして活動している筆者がご紹介します。

薬機法、景品表示法の違いをカンタンにご紹介

Webライティングに対して、すべての美容・健康の記事に薬機法や景品表示法が関わるわけではありません。法律が関係する基準が分かれば、やみくもに恐れなくても大丈夫です

ここでは、それぞれの法律の特徴と、どんな記事が法律にふれるおそれがあるかをお伝えします。

体に使うモノには薬機法

薬機法(旧薬事法)の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。管轄は厚生労働省で、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器そして再生医療等製品に関わる法律です。つまり体に塗ったり、つけたり、使うモノが対象になります

一方で健康食品やサプリメントは、本来は薬機法の範囲外です。しかし、効能効果をうたうと薬機法と関わることになります。そのため多くの場合では、健康食品でも薬機法を意識したライティングが必要です。

すべての商品・サービスに関係するのは景品表示法

景品表示法は正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」と言います。消費者庁の管轄で、すべての商品やサービスが対象です。不当な表示(広告)から消費者の利益を守る法律です。[1]

Webライターに関係する「広告」の定義について

薬機法でWebライターに関係するのは、第66条の誇大広告を禁止している部分です。[2]

(誇大広告等)
第六十六条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

引用:厚生労働省 医薬品等の広告規制について

つまり、記事が「広告」であれば薬機法の対象ですが、「広告」でなければ薬機法の対象とはなりません。

薬機法での広告には以下の3つの条件があり、条件をすべて満たすと広告とみなされます。[3]自分の記事が広告にあたるかチェックしてみましょう。

①誘因性→記事の目的が商品の購入・契約などをさせることである
②明示性→商品名がはっきりわかる
③一般性→商品のメーカー以外が、記事を読むことができる状況

LP(ランディングページ)、記事LPはもちろん広告とみなされます。また、商品ページへアクセスできるコラム記事も広告です。たとえば、健康食品会社の健康コラムで商品の有効性などを書くと、薬機法違反となってしまうので気をつけてくださいね。

薬機法や景品表示法に違反するとどうなるのか

広告にあたる記事がもしも法律違反となった場合、どのようなペナルティが課せられるのでしょうか。また、Webライターにも責任があるのでしょうか。ここでは法律に違反した場合の罰則を解説します。

課徴金と措置命令の可能性

薬機法と景品表示法に違反したときの課徴金は次のとおりです。

金額制度開始
金額違反期間の総売り上げの4.5%2021年8月〜
景品表示法違反期間の総売り上げの3%2016年〜

過去には景品表示法違反で数億円の課徴金を課されたケースもあります。さらに、課徴金のほかに措置命令を受け、違法状態の改善や報告書の提出が必要です。

薬機法ライター

テラさん

法律に違反したときの罰則は、決して軽いものではありません。

Webライターも措置命令を受けかねない

薬機法の課徴金制度が始まる直前まで、「薬機法に違反するとWebライターやインフルエンサーも課徴金を払わなければいけないのでは?」というウワサが流れ、多くの美容・健康系のライターがあわてる事態となっていました。
その後厚生労働省の発表で、違反時に課徴金を受けるのはメーカー、販売店に限ることがはっきりと示されました。[4]

ただし、広告代理店やインフルエンサー、Webライターは課徴金命令を受けないものの、措置命令を受けるおそれがあります。また、場合によってはクライアントから損害賠償を求められる可能性もあるので、やはり薬機法を意識したライティングは大切です。

措置命令とは

措置命令とは消費者庁が、景品表示法に違反して、商品の品質や値段について実際よりも優れている、または安価であると消費者が誤解するような不当表示などをした業者に、 その行為の撤回、再発の防止を命じる行政処分です。

引用:措置命令・課徴金対策 | 景表法ドットコム

薬機法でWebライターが気をつけたいこと

では、薬機法を意識したライティングとはどのようなものでしょうか。Webライターが特に注意すべきポイントをお伝えします。ぜひ参考にしてくださいね。

効能効果を書く時は要注意!

化粧品は、定められた56個の効能しか表現できないことはご存じでしょうか?もしあなたが、化粧品のPR記事を書く場合は、効能の範囲から飛びださないように十分に注意してください。以下の記事に化粧品の効能をまとめています。

また、健康食品の広告では効能効果、体の特定部位、病名を書いてはいけないというルールがあります

健康食品は「体全体の健康を保つ食品」という位置づけです。病気の改善や予防について記載できないほか、体の一部分に作用があることを書いてはいけません。たとえば、「目に良いサプリ」や「生理痛を予防するドリンク」という表現は薬機法にふれるおそれがあります

記事を書いたあとは、NGワードが含まれていないかしっかりチェックしましょう

国家資格ライターの落とし穴

Webライターの中には医療系などの国家資格を持つ人もいますが、以下引用部分に該当する国家資格者は化粧品を”おすすめ”してはいけません

薬機法第66条の具体的な解釈を示す医薬品等適正広告基準(適正広告基準)で次のように記されています。

第4(基準)10 医薬関係者等の推せん
医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所、薬局、その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は学会を含む団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告を行ってはならない。ただし、公衆衛生の維持増進のため公務所又はこれに準ずるものが指定等をしている事実を広告することが必要な場合等特別の場合はこの限りでない。

引用:医薬品等適正広告基準 p.28

適正広告基準に違反してしまうため、「医師おすすめの美容液」のような表現は禁止されています。

薬機法ライター

テラさん

広告とみなされる記事に、有資格者が「私のおすすめです!」と書く時は気をつけましょう。

ビフォーアフター写真を使えないパターンも

化粧品の紹介記事で「この化粧水を使って1カ月で、毛穴が目立たなくなりました!」と、ビフォーアフター写真が掲載されているのをよく見かけます。
しかし実は、化粧品の使用による肌の変化を写真で示すことはNGです。[5]

第4(基準)3(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
<共通>
(4)図面、写真等について
使用前、後に関わらず図面、写真等による表現については、承認等外の効能効果等を想起させるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。

引用:医薬品等適正広告基準 p.20

ただし、洗顔せっけんやクレンジングなどの、単純な「顔を洗う前」「顔を洗ったあと」のような写真は認められています

薬機法ライター

テラさん

ビフォーアフター写真は視覚的にも分かりやすいのですが、記事内に入れる際は注意してくださいね。

Webライターの感想も薬機法の対象に

実際の商品を試して、体験記事を書く時のポイントです。

「肌が白くなった」「2カ月で10kgやせた」などの体験談は、医薬品としての効能効果があると思わせてしまうため薬機法にふれるおそれがあります。
また、「個人の感想です」「個人差があります」と但し書きをしても、なんでも書いていいわけではありません

効果ではなく、匂いや手触りなどの使用感や使用方法などを書くのが、薬機法にふれないライティングのコツです。

景品表示法でWebライターが用心すべきポイント

景品表示法で気を付けたいのは優良誤認と有利誤認です。

優良誤認とは、実際の商品よりも質がいいものと勘違いさせることです。たとえば化粧品で美容成分が1%しか入っていないのに、10%配合と書くと優良誤認となります。
一方で有利誤認とは、お得であると誤解させる行為です。たとえば、いつ購入しても同じ値段なのに「今買わないと損をする」と客に誤った判断をさせる表現は有利誤認となります。

薬機法ライター

テラさん

景品表示法違反で行政処分をうけている事例は、すでに数多くあります。読者に誤解を与える表現にならないよう、十分に気をつけてください。

薬機法、景品表示法を意識して信頼につなげよう

ネット通販市場は年々大きくなっており、Webライターへの広告ライティングの需要も高まっています。一方で、法律のチェックは今後ますます厳しくなると予想されます。

薬機法ライター

テラさん

薬機法や景品表示法を意識したライティングを行って、クライアントからの信頼やWebライターとしての価値向上につなげましょう!

この記事の執筆者

薬機法ライター:テラ ヨウコさん

福岡大学大学院修了の薬学修士。地域密着型の調剤薬局で、のべ10万人以上の調剤に携わる。第1回「医療ライターのはじめかた」受講生。薬機法がわかるライターとして、医療・美容分野の記事を執筆。家では3人の子どものママとして、毎日ワンオペで奮闘しています。

テラさんへのインタビュー記事:こちら

Twitter(X):https://twitter.com/tela_medwriter

テラさんも受講、添削付きオンライン講座「医療ライターのはじめかた」

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メディア運営・編集

京薬卒、(株)Medited代表取締役。 医療・取材ライターや医療系介護メディアの編集長業務、キャリアスクールでの講師メンター業などを経て2020年よりオンライン動画講座「医療ライターのはじめかた」メディア「MediJump」の運営を開始。2022年より医療×Webクリエイターの交流コミュニティ「MediWebラボ」をスタート。2023年に法人化し、経済産業省JStarX起業家プログラム等に採択。「医療資格は、ずっと味方」をテーマに活動しています。